オレンジの片想い

休日明けの月曜日。今日からまた一週間が始まる。その最初の日の朝っていうのはどうしてこんなにも眠たいんだか。


欠伸により大きく開いた口を両手で覆って、慣れ始めた道を歩く。

...小夏ちゃんと話すようになってから、なんとなく駅を通るたびに彼女がいないかを確認してしまう。今日はいないようだった。



この日、いつもと違ったことは、普段なら遅刻ギリギリに現れる蒼真が既に学校に来ていたということ。


誰と話しているわけでもなく、ひとりで机に突っ伏していた。



「蒼真...?」



両腕で隠された顔。寝ているのかも起きているのかもわからず、そっと小声で話しかけてみた。

すると彼は呻きながらむくりと起き上がった。



「おお...雪葉か」


「ど、どうしたの?何かあった?」



どことなく重い空気を纏わせた蒼真。わたしが問うと、蒼真は深い溜息を吐いた。



「....今朝いつもより早く出て、駅で小夏いたから話しかけようとしたら...隣に男がいて」


「え、男?」


「喋ったことねぇけど同じ中学の奴。なんか楽しそうにしてて入っていけなくて」


「絶賛落ち込み中ってわけか」


「おー...」



要は嫉妬して動けなかったってこと。そんなの、わたしなんて常日頃妬かされてるっていうのに。

力なくまたずるずると突っ伏した蒼真の頭を、軽く拳で叩く。



「蒼真のアホ」


「は...?」


「そんなことで落ち込んでてどうすんの。小夏ちゃんがモテるのなんて一目でわかるでしょ。蒼真はそれもわかった上で好きなんじゃないの?」

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