オレンジの片想い

見慣れたその人物。わたしの声に振り向いた人は、確かに陽翔だった。



「雪葉。やっぱお前写真部だったか」


「な、なんで陽翔がいるの?」


「なんでって...入るためしかねぇだろ」



陽翔のイメージからしてサッカーとかしてそうなのに...まさか写真部に来るだなんて思っても見なかった。びっくりだ。



「ん?おふたりさん知り合いなの?」


「はい。俺ら中学一緒で、今も同じクラスなんです」


「へえ~!そうだったのかあ」



早くも馴染めている陽翔。先輩たちがフレンドリーってのもあるけど、すごいな。


後で、帰るとき流れ的に一緒に帰ることになるだろうから、その時にどういう心境の変化があったのか訊こう。そう決めて、その時間は先輩の話などに集中した。



「じゃあ、そろそろ下校時間だから閉めようか。ふたりともまた来てね」


「はい!ありがとうございました」



先輩たちに挨拶して別れ、陽翔とふたりになる。そのまま、やっぱり成り行きで駐輪場へと向かう。

まあ家の方向だって一緒なのに別々で帰るのも不自然だもんね。



「びっくりしたよ。まさか陽翔が写真部に来るとは思わなかった」


「ああ...だよなあ」



はは、と自転車に鍵をさしながら彼は苦笑した。
< 182 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop