オレンジの片想い
見慣れたその人物。わたしの声に振り向いた人は、確かに陽翔だった。
「雪葉。やっぱお前写真部だったか」
「な、なんで陽翔がいるの?」
「なんでって...入るためしかねぇだろ」
陽翔のイメージからしてサッカーとかしてそうなのに...まさか写真部に来るだなんて思っても見なかった。びっくりだ。
「ん?おふたりさん知り合いなの?」
「はい。俺ら中学一緒で、今も同じクラスなんです」
「へえ~!そうだったのかあ」
早くも馴染めている陽翔。先輩たちがフレンドリーってのもあるけど、すごいな。
後で、帰るとき流れ的に一緒に帰ることになるだろうから、その時にどういう心境の変化があったのか訊こう。そう決めて、その時間は先輩の話などに集中した。
「じゃあ、そろそろ下校時間だから閉めようか。ふたりともまた来てね」
「はい!ありがとうございました」
先輩たちに挨拶して別れ、陽翔とふたりになる。そのまま、やっぱり成り行きで駐輪場へと向かう。
まあ家の方向だって一緒なのに別々で帰るのも不自然だもんね。
「びっくりしたよ。まさか陽翔が写真部に来るとは思わなかった」
「ああ...だよなあ」
はは、と自転車に鍵をさしながら彼は苦笑した。