オレンジの片想い
入部申請も済み、部員として活動し始めて約3ヶ月程が経った。
日に日に暑くなっていく日中に夏の訪れを感じさせる頃で、中間テストも終わりもうすぐ期末テストが始まろうとしていた。
この頃にはもうわたしは、完全に蒼真の恋愛相談相手と化していた。
「雪葉。中間のときは言わなかったけど、期末は一緒に勉強しようって誘おうと思うんだがどう思う」
「どうって...いいんじゃない?なんなの、その妙なしゃべり方」
「いやあ...な。だって緊張するだろ」
蒼真は器用ではなくて、何か行動を起こすにしても結果ばかり重視してしまう。優しいから、迷惑じゃないかな、とか気にして、わたしにこうやって事前に意見を求めてくるのだ。
「大丈夫だよ。たぶん断らないと思うし」
「そんなんわかんねぇだろ」
「わかんないけど、蒼真の教え方は本当に上手いし、嫌われてるはずもないしさ。向こうに別に先約がいなければ、だけど」
「うわ、んな怖ぇこと言うなよ」
わたしが見てる限りでは、小夏ちゃんに他に好きな人はいないと思うけど。
......いや。いる、のかも。
最近、思うのだ。小夏ちゃんと話すたびに、蒼真の話題が上がる。だから、もしかしたら。確信はないし決めつけるのはよくないから、蒼真には言わないけど、もしかしたら。
小夏ちゃんは蒼真が好きなんじゃないかって。
「....ま、頑張ろうって思うその気持ちが大事なんじゃないの。無理だったとしても、アピールにはなると思うし」