オレンジの片想い

2学期がスタートして数日が経った今日。



最近はもう気にしなくなったのに、何かに呼ばれたようにふと駅の方を見た。するとそこには、何日も見ていなかった人の姿があった。



....小夏ちゃん。



このまま気づかなかったフリをして通りようかと思った。

だけどわたしが前を向くよりも先に、小夏ちゃんの視線がわたしに向く方が早くて。


ピタ、と足が止まる。彼女は会うたび見せてくれる誰もを魅了する笑顔で、こちらに駆け寄ってきた。



「雪葉ちゃん!おはよう、すごい久しぶり~!夏休みあったし全然会わなかったもんね」


「だね、おはよう」



期間が空いていたから、見ないうちに肩についていなかった黒髪は少し伸びて、綺麗な内向きのボブヘアーに変わっていた。肌の色も、蒼真ほどまではいかないけれど、わたしの記憶に残っている彼女よりはほんの少し焼けたように思えた。




「...、小夏ちゃん、マネージャーどう?」



とりあえず、何か話さなきゃ。

そう思って部活の話題を振ってみた。



「今年のマネージャーさん少なくて。すっごい大変なんだけど、でもやりがいあるし楽しいよ、すごく!」



その笑顔は、なんだかキラキラしていて、本当に楽しいんだろうなって思った。



「そういえば夏休み、部活中に雪葉ちゃん見てたよ」


「え?」
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