オレンジの片想い
「わたしを?」
小夏ちゃんも、写真を撮っているわたしに気がついていたんだろうか。そう思った直後、彼女が何気なく放った言葉に、わたしは思わず固まってしまった。
「うん。あたし、雪葉ちゃん見つけた瞬間すぐ蒼真に教えたよ。なんか誰かに言いたくて」
___________ああ。
わたしが蒼真の視界に入っていられたのは、小夏ちゃんのおかげだったのか。
急に崖から突き落とされたみたいな、衝撃。
わたしが知らない間、やっぱりふたりは確実に距離を縮めていたんだ。だって、そうじゃなくちゃこんな表情しないでしょ?
蒼真の名前を口にするだけで、全てが愛しいような、そんな顔。
ふたりが近くなったときの話題にわたしがいるなんて、残酷だなあ、本当。
わかっていても、掠り傷はつく。
こんな風にジリジリとずっと痛いなら、思いきり傷をつけて、麻痺させることはできるだろうか。そんなことを考えて、わたしは彼女にずっと心にあった問いを持ちかけた。
「.......小夏ちゃん、ってさ」
「ん?」
「蒼真のこと、好きなの?」