オレンジの片想い

なんだ、今日は告白デーなのか?


偶然にも、想いを伝えると決意した日が蒼真と同じだなんて。



「...そっか」


「おう。雪葉には...告白する前にちゃんと、知らせておきたかった」



わたしって、そんなに信頼されてるんだね。

こんな時でさえもそれが嬉しい。



...道理で、蒼真の顔がこわばっていると思った。緊張のせいだったのか。わたしもこんな硬い表情だったのかなあ。自分ではわかんないや。たぶん蒼真も気づいてないんだろうな。



「俺が言いたかったことはそれだけ...って、雪葉、部活とか大丈夫か?」



こうやって相手を気遣ってくれる優しさも、惹かれる原因の1つだ。



「うん、少しくらいならね。蒼真こそ大丈夫?」


「俺も少しなら大丈夫。雪葉の話したかったことって?」


「うん。...あのね」



そこで、いちど切った。


たったひとこと口にするだけなのに、息切れがしそうなほど動悸がして苦しい。本当におかしくなりそうだった。

気持ちを伝えるときの緊張が、今わかった。



ぎゅっとスカートを握り締めて、まっすぐ蒼真を見つめた。







「...わたし、ね。蒼真が好きだよ」
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