オレンジの片想い
*第4章
痛み
一向に止まる気配のない涙。次から次へと溢れ出てきて、でも止めようとも思わなかった。
頑張ったんだから、泣くくらいいいじゃんね。この涙もきっと無駄なものなんかじゃない。この先のわたしに繋がるものだと思うから。
ちゃんと、伝えられてよかったな。
伝えてしまったら、蒼真との心の距離が離れていくと思った。蒼真の恋の邪魔になるかもしれないとも思った。関係を崩すのが...怖かった。
だけど気づいたのだ。蒼真の傍にいたいと思うことが、諦められない要因であると。
壊す覚悟を持たないと、前には進めないって。
この覚悟も、愛しさも、蒼真の勇気の一部になっていればいいな。
思った途端にまた、涙が落ちる。
そこでふと、思う。
...部活どうしよう。
教室内では陽翔とはあまりしゃべらなくなっていて、少し遅れることを伝えていなかった。というか、遅刻というほど時間をかけずに手短に終わらす気でいたのに。
まさかこんなにも時間が経つとは。
泣くっていうのは想定内だったけれど、後の事は全く考えていなかったのだ。
だけどこんな、泣き腫らした顔で...いや、今もなお泣いている状態で、部活になんて行けるものか。
...うん、無理。
今誰かに"大丈夫?"なんて言われたらもっと無理。
うーん。どうしよう。
無断欠席...部長さんに怒られちゃうけど、仕方ないかなあ。
でも今はまだ、廊下に出られる状態でもない。
下校時間が近づいた、部活終了よりもすこし手前の薄暗い時間に、帰ろうかな。それまでには泣き止めるように、今のうちに出し切ろう。