オレンジの片想い
どうして、わたしが泣いていると思ったんだろうか。わからなくて、そう声をこぼすと、陽翔はゆっくりと話し出した。
「...蒼真が今日、告白するの知ってたから。それを、雪葉に伝えるってことも」
そっか、それで。
わたしがそれを知って泣いていると思ったってことは、陽翔は。
「雪葉の気持ちも、気づいてたから」
ああやっぱり、気づくよね。わたしも、蒼真に言えないくらい分かりやすいって、自分で思ってたくらいだもの。
陽翔といるときだって、いつだって蒼真の姿を探していたから。
それで、心配して探してくれたのか。
「....ありがと」
たったひとこと口にしたその言葉だけで、また瞳から大粒の涙が、堪えきれなくなって落ちた。
その雫が、わたしの首に回る陽翔の手を濡らす。
「わ、ごめん」
「いや、いいよ。今は黙って泣いとけ」
慌てて彼の手に乗った涙を払うと、優しい声色でそう言うから、甘えてしまう。泣いとけと言われても、やっぱり少し遠慮してしまうけど、その好意はしっかり受け取った。
暫くしてわたしが鼻をすすったとき、陽翔が徐に言った。
「...雪葉、こっち向けるか?」