オレンジの片想い
...え。
「む、むりっ」
「じゃあこのままでいい」
焦って拒否すると、あっさりと諦めてくれた。
今更ながら、後ろから抱きしめられているという今の体勢が恥ずかしくなってきた。さっきまでは、泣いていたから何も思っていなかったのだ。
このおかげで結構落ち着けてるのは確かだけど。
もし陽翔が来なければ、わたしはもっと押しつぶされていたかもしれない。
でも、やっぱり免疫ないし恥ずかしいな。
「な、なに...?」
ひとり赤面しながらそう問うと、彼はすぐには答えなかった。
沈黙して、なんだかこちらがドキドキしてきた。陽翔のほうも、どことなく緊張しているように思えたから、余計に。
一体何を言われるんだろうか。
数秒待って、耳元で彼が息を吸い込む音が聞こえた。
そして、彼の口から吐き出された言葉に、わたしは思わず耳を疑った。
「______雪葉。俺お前の事好きだ」