オレンジの片想い


一瞬、真っ白になって、瞬間、身体中の血液が沸騰するかのような勢いで、熱が走った。




気づいていなかったわけではなかった。

むしろ、彼からの好意には気づいていた。


だけど、口して違っていても恥ずかしいし、合っていても気まずいから、このことは誰にも言っていなかった。



気づいていたとはいえ、やっぱり告白を受ければ驚くものだ。だって今まで、異性から好意を直接伝えられたことなんてないから。やっぱりね、なんて言える余裕などわたしは併せ持っていない。


わたしは動けないで、そのまま彼の話に耳を傾けた。



「ごめんな。弱いところにつけ込むみたいで....みたいっていうか、本当にそうなんだけどさ」



緊張からだろうか、いつもより饒舌になっている陽翔。


わたしが誰を想っているのか知りながら、わたしのことを好きだと言った、彼。それが先程までの自分自身と重なって、胸が苦しくなった。



だって、その気持ちが痛いほどわかるから。



「...ごめん陽翔...」



蒼真も、こんな気持ちだったのかもしれない。



自分なんかのことを好きになってくれて、それを伝えてくれたことが、とても嬉しい。

その反面、わたしは今まで彼にひどいことをして、無意識に傷つけていたんじゃないかと、そんな不安に似た申し訳なさが込み上げる。



「わたし、きょう、蒼真に好きって言った」



今、こんなことを言うのは、彼を傷つけることになるだろうか。


だけど彼には打ち明けなければと、そう思った。
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