オレンジの片想い

優しい言葉を選ぶのは間違いだ。

かといって、鋭利な言葉を選ぶのもちがう。



「わたしなりのけじめだった...でも、」


「わかってる」



続きを、陽翔が遮った。

その声量は耳元だったからか大きく、思わず肩が跳ねてしまった。それに気づいた陽翔が、自分を咎めるように息を吐いた。



「...困らせたくて、謝らせたくて言ったんじゃない。ただ、今雪葉を独りにしたら潰れてしまうだろ」



どうして。

どうしてそんなことを。



「もっと俺に頼れよ。話だって聞くし、相談だって乗るから。だから....」


「っ、そうしたら、陽翔が....！」



あなたが、潰れてしまう。



わたしは思わず、背中を向けていた体勢から、泣き顔を気にしていたことも忘れて勢いよく後ろを振り向いた。

だけど、わたしがその言葉の続きを言うことは果たせなかった。




なぜなら振り向いた先には、くるしそうな、陽翔の表情があったから。



見えていなかった顔。


ずっと、そんな表情でいたの？



その意味も理解できるような、そんな気がして、だけど、その切ない心の表れに、はち切れそうな思いでいっぱいになった。


だって、そう顔を歪ませている原因は、



わたしにあるのだから。