オレンジの片想い

「わたしが頼ったら...陽翔が傷つくでしょ」



だって、普通好きな人の好きな人の話なんて、聞きたくなんてないでしょう?

全部素直に話してしまったら、きっと陽翔が犠牲になる。傷つけてしまうとわかっていて頼るなんて、できない。



だって陽翔は、大切な人だから。



「雪葉だって、蒼真の相談に乗ってただろ。辛いくせに、聞きたくないくせに、笑って」


「っ、違う!」



自分が傷つくこと。

それよりも蒼真と壁もなく話せる関係がなくなってしまうことの方が、ずっとずっとこわかった。



わたしは、ただ蒼真のとなりにいたかっただけだ。その位置を独占したいだけで、ずるかったんだ。それはすべて自分で仕向けたもの。だから、傷ついた、なんて言えない。


きっと言ってはいけない。




「わたしは...それを自分で望んでいたの。自分から、話してほしいって言ったの」



蒼真は何も悪くない。

悪いのは、勇気を持てなかったわたし。
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