オレンジの片想い
顔を横に振ると、陽翔の顔はまた歪んで、それに胸がズキリと痛む。
わたしはどうすることが正解なんだろう。
傷つく事にも、傷つけることにも敏感になってしまっている。
「やっぱり...」
できない。
再度拒否しようとしたとき、彼の大きい手がわたしの口元を覆って、わたしから発せられる言葉を聞きたくないとでも言うかのように、制した。
「...お願いだから。全部受け止めさせてくれ。拒否される方が...傷つく」
陽翔は苦しそうに吐き出して、今度はわたしを正面から強く抱きしめた。
ああ、ずるい。
その言い方はずるいよ。
その優しさに甘えて、手を伸ばしてしまう。
「.....っ、う」
止まっていた涙が再度溢れ出す。
かすり傷が増えてすり減った心にそっと、手を添えられた気がした。
その優しさを傷つけていることも、彼の想いも、いたくていたくて。
それらも全て受け入れると言った彼の腕は、小さくなったわたしの肩を、力強く抱きしめていた。