オレンジの片想い
部活って、そういえば。
「あ、陽翔...部活大丈夫!?」
途中で抜けて戻らなくて、怒られてしまう。それはさすがに申し訳なさすぎる。
焦って訊くと、なぜか彼はふっと笑った。
「ああ、ごめん。実は俺部活早退したんだ」
「えっ?そう....なの?」
「うん。勝手に送ってくつもりでいたしな」
わたしがそれだけ泣くって、最初からわかってたのか。それくらい、陽翔はわたしのことを見ていてくれたってことなのかなあ。なんて自分で言うのは恥ずかしいけど、心の声だし、うん。
「じゃあかばんは?」
「そこ」
あ、ほんとだ。
動揺しすぎて鞄を置く音にすら気付かなかったんだなあ。
「じゃあ先輩たちに会わないうちに帰るか」
そう言ったと同時に、わたしのかばんも奪って、持ってくれる。
「あ...ありがと」
「おう。...帰り、話して楽になれそうだったら話してな。遠慮とかなしだからな?」
悪戯に笑って、彼は歩きだした。