オレンジの片想い

言われてみれば、確かにそうだ。



蒼真を誘うことに精いっぱいで、とりあえず事情を知ってくれてて最初から一緒になるつもりだった咲歩と固まったけど、もう1人って誰を誘おう?



教室内をぐるりと見渡すと、もうほとんどが男女3人ずつで班ができていた。



今日は休みいなかったはずだから、どこかの班で仲のいい人が離れ離れになっちゃう筈なんだよな...。そう思うとわたし、自分の事ばっかりだな。



反省していると、咲歩が指を指して言った。



「...あそこ、なんか揉めてない?」



そちらを見ると、男子は3人で出来ているのだけど、女子が4人...。誰か1人抜けなくちゃいけないから誰がどこへ行くか話し合っているんだろうなあ。



でも明らかに険悪ムード。これが自由の難点だよね。まあくじ引きもくじ引きで嫌な人と一緒だったらこんな事になっちゃうけど...。見てる限りでは1人余りにさせられそうな子が...って、あの茶髪は。



「月菜?」



わたしがその子の名前を呟くと、わりと小さな声だったんだけど聞こえたらしく、そこにいた女子4人全員がこちらを向いた。



「あ...雪葉」



「え?ゆき、佐伯さんと仲良かったんだ?」



「去年一緒のクラスだったんだよ」



佐伯月菜。つきなじゃなくてるなって読む。初めて話したのもわたしの名前の読み間違えからだった。2年に上がってからあまり話さなくなったけど。



「月菜、雪葉ちゃんと仲いんだ?こっちいたって揉めるだけだしそっち行きなよ」
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