オレンジの片想い

...話さなくなったのは、わたしのせいでもある。



小夏ちゃんと蒼真は、付き合ってからすぐに周りに広まって、知らない人の方が少ないんじゃないかってくらい、有名になってしまった。


なぜならふたりが美男美女だから。


ふたりに片想いしていた人はたくさんいて、だからこそすぐに周囲に広まったのだ。伝えられないまま、みんな失恋してしまった。わたしは例外であるけれど。



お似合いのカップルだって、誰もが認めた。



それはわたしもよくわかっていた。

そうやって割り切って、ふたりのことを心から応援して行こうなんて思っていた。でも、安易だった。



傍に居たら、駄目だった。



蒼真の幸せそうな笑顔が見れたらそれで満足だった。だけど気づいてしまった。


その笑顔に惹かれてしまうって。



それに、蒼真のその顔を見れるのは、正面からじゃない。


彼がわたしに、遠慮してしまっているのだ。



わたしと話すとき目を見ず、不自然に話す。

それに、わたしを傷つけたくないのか、わたしがいるところで惚気るのを躊躇う。それもわかりやすすぎて、逆に傷つくっていうのに、やっぱり戸惑っていて。わたしがいれば、小夏ちゃんがいても傍に行かなかったり。


それを見てたら、わたしがいることがふたりの恋を邪魔してるのかな、なんて思えて。


そう思うことも疲れて。



いつしかお互いが話さなくなった。
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