オレンジの片想い

陽翔とも、そうだ。

いつの間にかわたしたちの間には距離ができてしまっていた。



陽翔が気まずそうにしたら、わたしにもそれが伝染して、必死にそうじゃないように演じてみても、やっぱり無言になってしまって。

そんな沈黙が気まずくて、お互いがお互いを避けた。


前なら、陽翔との沈黙は気まずいものではなく、落ち着く空気が流れていたのに、こんな数日で変わってしまうとは。



かと言って、わたしから"今までみたいに仲良くしよう"なんて、そんなのは酷すぎる。わたしがもしそう言われる立場だとしたら、なんて酷いことを言うんだろうと思うだろうし。

陽翔が言うならまだしも、わたしからなんてとても。


だから何も言えない。


何を言ったらいいのかもわからない。正しいことが何かも解らなくなって。



気がつけばこんな状態で、ますます話しかけづらくなってて、手遅れじゃないかもしれないけど、わたしからすればもうとっくに手遅れ。



前はなんだかんだいろんなことあって、それでも一緒に帰っていたのに。


今じゃ別々で帰ってる。



そうしたのはきっと、どちらが悪いとかではなくて、どっちもそうさせたんだと思う。




...どうしたら、よかったのかな。



なんて、今考えたって遅いんだけど。




大切なものを、一瞬で手放してしまったんだな、と、改めて思った。
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