オレンジの片想い
「こんなハッピーエンドもありでしょ?」
歯を出してにかっと笑うと、月菜と咲歩はふたり顔を合わせて、それから吹き出すように笑い合った。
「...うん、そうだね。失恋が全部バッドエンドってわけじゃないってことか」
「ゆきのその悲観しない考え方はちょっと尊敬するよ」
「へへ、ありがと」
うん、自分で悲しい恋だって言いたくない。素敵な恋だったって、わたしは言いたいよ。恋する気持ちを教えてもらったんだ、こんな気持ち知らなきゃ良かったなんて、そんなのきっと蒼真に失礼だと思うし。
...初めての恋が、蒼真で本当に良かった。
素敵な思い出をくれて、ありがとう。
心の中で、そう呟いた。
「...まあ、わたしの心配はもう無用!これは本当だからね?はい、もうこの話はおしまい!」
ぱん、と手を叩いて、無理矢理話を終わらせた。ふたりの表情からは、ちゃんと納得してくれたように感じられて、ほっとした。
空気が和んだところで、わたしはずっと気になっていたことを訊いてみた。
「ねえ、咲歩」
「ん?」
「高木とは、どうなの?」