オレンジの片想い
高木というワードを出した途端に、酷く驚いた咲歩。まさかその話題が出てくるなんて思いもしなかったのだろう。
それからみるみる赤くなっていく頬。
それを見て、わたしと月菜は目を合わせ、それからニヤリとふたり同時に笑った。
「何その反応~」
「わかりやすすぎ!何あったのさ」
にやにやしながら問い詰めると、ますます頬の赤色を深くしていく咲歩。こんな彼女滅多に見られないから、ちょっと面白い。なんて、言ったら怒られるから言わないけど。
ふたりで咲歩の言葉を催促していると、観念したのか、口を開いた。
「...えっと」
口籠る咲歩に、わたしたちは目を輝かせて頷いた。
そんなわたしたちに押され気味になっている咲歩は、少し前のめりになっていたわたしたちを避けるように仰け反って、苦笑いした。
「...高木に、告白された」
月菜とわたしは、その言葉を理解するのに数秒停止してしまった。そんなわたしたちに、また咲歩は困ったように苦笑した。
それから目を大きく見開いて、同じタイミングで驚き叫んだ。
「えええ!?」
「え、いつ!?なんて言われたの!?それで!?」
「ちょ、そんな一気に言われても...」
そう制されて落ち着き、また前のめりになって咲歩を見つめた。