オレンジの片想い

わたしたちの食いつき様に、咲歩は引き気味になりながらも、ぽつりぽつりと話してくれた。



「...一昨日、だよ」


「え、めっちゃ最近じゃん」


「うん。別に隠してたわけじゃないんだけど、なんとなく言いにくくて。ほら、あたしこういう話題の自分の話って苦手だからさ」



高木のことを、思い出しているんだろうか。

目を逸らして、すごく困ったような、だけどどこか嬉しそうな、そんな複雑な表情の咲歩。自分じゃこんな顔してるなんて、きっと思ってないんだろうな。



「なんて言われたの?」


「シンプルに...好きだって」



そう口にしてまた、頬の色を濃くした咲歩。



「....っ!さ、咲歩可愛い....!!」


「やめろ」


「いてっ」



余程恥ずかしいのか、軽く頭を叩いてきた。


それでもわたしの頬の緩みは止まらない。恋って、すごいな。こんなにも人を変化させるのだから。



...高木、頑張ったな。



そう、上から目線に心の中で言った。
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