オレンジの片想い
「それで、返事はなんて?」
月菜がわたしと同様、にやにやしながら咲歩に問う。その隣でわたしも気持ち悪く笑みを浮かべながら、彼女の言葉を待った。
だけど咲歩の言葉は予想とは外れたもので。
「...ま、まだ。返事してない...」
わたしと月菜は、目を丸くして顔を見合わせた。
「え、そうなの?」
「う、うん...だってなんか、付き合ってとか...言われてないし、返事って要るのかなって」
「何言ってんの、好きだってそういう事でしょ!高木絶対待ってるよ?」
「だよね.....」
月菜が言うと、咲歩はがくり、と額を机につけてうなだれた。
「あたし、告白されてびっくりしすぎて逃げちゃったんだよ。駄目だよね本当。高木、どう思ったかな。伝えてくれたのにひどいことした...」
やっぱりこんな咲歩、見たことない。
サバサバしてて、優しくて、悪いことがあっても前向きに解決策を見つけようとする咲歩。いつもわたしたちを支えてくれる心強い存在。
そんな彼女が、珍しく弱音を吐いてる。
そうさせたのは_____高木だ。
ねえ、あんたすごいよ。
「...咲歩。まだ遅くないと思うよ。気持ちはそんなにすぐには変わらないはずだから」