オレンジの片想い
それからすぐに終業式がやってきて、2学期が終わってしまった。
...早かったなあ。
いろんなことがありすぎた。だから、ものすごく短い期間に思える。思い出が凝縮されちゃったんだな、きっと。
通知表など渡されるだけで、その日は午前中で終了。
ただし、部活はあるけど。
「ひなせちゃん、ばいばい。良いお年を」
「ばいばい。雪葉ちゃんも、よいお年を」
もう会えることないかもしれないから、そんな年末の挨拶を交わして、まだ途中だった帰る準備を再開させる。
その視界の端に、陽翔が映った。
わたしを待たずに、ひとりで部室に向かうのだろう。これが、今では普通になってしまった。前は、早くってわたしを急かして、それでも待っていてくれた。そんな日が遠く思えて、懐かしくなった。戻りたい、とはもう思えないけど。
わたしも早く部室に向かおうと、支度を早々と終わらせ、かばんを肩にかけ顔を上げた。
そしてわたしは、目を見開いて固まってしまった。
なぜならその視線の先に、蒼真がいたから。
彼も教室を出るところだったんだろう。席を立ち、不意にこちらを向いた彼も、わたしに気づき同じように目を見開く。
そんな驚いた表情からすぐに一変して、蒼真は微笑んだ。
作り笑いって、わかりやすい笑顔で。