オレンジの片想い
「おお....かっこいい漢字....!」
素直な感想だった。だけどたぶん、わたし"木山陽翔"だけで見たら"はると"って読み間違えるだろうな、と思った。
「そうかー?よくはるとって間違えられんだよな、この漢字」
「あ、それ思ってた。わたしこの漢字だけで見たら絶対読み間違えるなって....」
「雪葉って漢字弱いんだな」
「.....はいではー、木山くんよろしくねー」
「無視すんなよ」
「ん?何か聞こえる?」
「おい」
笑いながらわたしに意地の悪いことを言う蒼真を無視して役割分担を続行させると、案の定彼は拗ねた。
確かにわたしは読めない漢字が出てきたら雰囲気で勝手に読みをつくる癖があるし、読めない事が多いけど、それは蒼真も言えたことじゃないのだ。
まあ、お互いのやり取りが冗談だとわかっているからいいのだけど。
「なんか聞こえるけど置いといて」
「置いとくのかよ」
「ちゃっちゃと決めてしまおう。じゃあ次副班長。やりたい人いる?」
「あたしやるよ」
「お。咲歩、やってくれるの?」
「うん。やりたい人いない?」
みんなに咲歩が問いかけると、誰も異論はないようでそれぞれ肯定を示した。やるよって言ってくれる人がいるとスムーズに事が進むからありがたいな。
そう思いながら副班長の欄に日吉咲歩と書き込んだ。