オレンジの片想い
何、話したらいいんだろ。前ってどんな風に、どんな話してたんだろ。
なんか急に、わかんない。
焦って、沈黙にはなりたくなくて、話題が思いつかなくて。
「....、ほんと久しぶりだね!」
となりで蒼真は、いきなり大きな声を出したわたしに驚き、キョトンとしている。
あ。失敗した。
そう思ったのと同時に、蒼真が吹きだした。
「ふは、力みすぎだろ」
蒼真の笑い声に、一気に打ち解ける。ああそうだ、こんな感覚。懐かしいなあ。懐かしいって思えるくらい、蒼真と話してなかったんだなあ。
でも今、ちゃんと話せて良かったかも。
「...久しぶりすぎて、なんか解んなくなってた。ちょっと気まずかったし」
「うん、俺も」
「だよねえ。蒼真、すっごい気まずそうにするんだもん。こっちまで移っちゃったよ」
「え、俺そんな顔してたか?」
「してたよー」
「自分では上手くやってたつもりなんだけどな...」
「全然できてなかったよ。まあ...わたしも人の事言えないかな」
お互い様だ、とふたり笑い合った。
「...俺さあ。ずるかったんだ」