オレンジの片想い

同窓会が行われる日は来月の1週目の日曜日で、その日はあっという間に訪れた。


場所は、地元にあるホテル。


わたしの今住んでいる場所は、実家からはそんなには遠くない。だけど、駅に降りたったら、すごく懐かしい景色が広がっていて、帰ってきたなあ、なんて思った。



成人式以来の友人がほとんどで、みんなそれぞれに久しぶりの再会に、盛り上がっていた。わたしが着いた頃には元のクラスの人数の半分くらいは来ていて、これからもう少し増えるのだとすると、結構な人数が集まれるんだなと思った。




「あっ、雪葉!」



名前を呼ばれ振り向くと、そこには月菜がいた。彼女はわたしの顔を見るなり綻ばせて、こちらへ駆け寄ってきた。

今でも仲の良い月菜でさえも、会うのは久しぶりだ。



「月菜、久しぶり~」


「ほんと。元気にしてた?」


「うん。月菜も元気そうだね」



月菜は、仕事の都合で県外へ引っ越してしまった。


お互い忙しく、すぐに会えたりはできなくて、連絡もしばらく取り合っていなかった。だからすごくいい機会だ。




「ねえ月葉、咲歩まだ来てない?久しぶりに会いたいんだけど。っていうか、全員ぜんぜん会ってなかったんだけどさ」



あとで皆に挨拶してかなきゃな、と思いながら訊くと、月菜はわたしの後ろを指さした。



「咲歩来てるよ。でもあっちでみんなに囲まれてるんだよね」

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