オレンジの片想い

苦笑いで言った月菜の言葉で、わたしはすぐに囲まれている意味を悟った。




「あー...なるほど。でも、囲まれて当然か」


「だよねえ...行く?」


「うん、行く」



うなずいて、ふたりで咲歩がいる方へと向かう。そこには、月菜が言った通り、数人に囲まれて有名人状態の咲歩がいた。

彼女はそんな輪の中にいてもわたしたちの存在に気づいて、手を振った。




「月菜、雪葉!久しぶり!」



人を掻き分けて、笑顔でこちらに来てくれた咲歩。



そのお腹は、大きく膨らんでいる。




「久しぶり。大きくなったね。今何ヵ月だっけ?」


「8ヶ月だよ。すごく大きくなったでしょ?前にふたりに会ったときはまだ小さかったもんね」




すごくすごく愛しそうに、お腹を撫でながらそう教えてくれた。

もう、お母さんの顔をしていて、同い年なのにわたしよりも大人に見える。その腹の中に新しい命が宿っているんだって、自分の知人がそんな状況にあって初めて、妊娠ってすごいなって思うようになった。



「高木は?」


「パパはー、あたしと同じように向こうで男子に囲まれてるよ」
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