オレンジの片想い
あと残っているのは、地図を見る係が3人と時計を見る係が1人。
「次....地図見るのやってもいいよって人は?」
すると、さっと2人の手が挙がった。その人物は、高木と月菜。あと1人入れるからこの2人は決定だ。
「じゃあ、高木と月菜は地図決定で」
っと....高木の名前....。覚えてないとか申し訳なさすぎる。男子の中ではわりと話しやすい相手なのに。高木のことを下の名前で呼ぶ人って少ないからなあ。
「ほんとごめん。高木の名前書いてほしい....」
「覚えてなかったんだ?」
「すんません....」
「はは、そこまでへこまなくてもいいのに。これから覚えればいいだけだしな」
そんな優しい言葉をくれる高木は本当にいい人だと思った。そんないい人なのにわたしという人間は...!と、自分をさらに責めたくなった。
高木の字は男子とは思えぬほど綺麗で、いや、もしかしたら女子よりも綺麗なんじゃないかってくらい。そんな字がわたしの書いた高木の横に並ぶ。
「高木、りょう?」
「おう、亮。これはさすがに読めるか」
「逆に他の読み方のが知らないよ、わたし」
高木まで蒼真に乗っかってそんなことを言うから、口を尖らせた。すると高木は"確かにな"と笑った。
「高木.....お前亮っていうのか....!」
「木山も知らなかったのかよ.....」
「ま、これから覚えれば問題ないんだろ?」
「お前は別だ」
「えええ!差別!」