オレンジの片想い
ふたりの会話に笑いながら、高木の名前の隣に"佐伯月菜"と書き込む。
「で...あとは時計係だけってことは、蒼真は時計係?」
「おう」
時計係は1人だけだから蒼真も決定。名前を書き込もうとしたとき、月菜がわたしに問いかけた。
「雪葉はどうするの?」
「ほんと。ゆき、さっきから皆に聞いてばっかりだけどいいの?」
月菜に続き咲歩もそう言った。
「うん。何でもよかったからあまりもので。とは言っても班長はいやだったけどね」
「それ何でもじゃないじゃんよ」
「まあいいじゃん!決まったし」
スムーズに決まったからよかった。じゃんけんもせずに決めれるなんて。大体こういうときはじゃんけんして決めること多いから。で、わたしはいっつも負けるんだけど。
「あー、雪葉が最後まで何も言わないから時計狙ってんのかと思って、俺ちょっと焦ってた」
「蒼真、めんどくさいことやりたくなかっただけでしょ...」
「............んなことねえよ」
「すごい間が空いてたけど」
「俺は地図の見方がいまいちよくわからないだけだ」
「キメ顔で言うなキメ顔で」
子供のように笑う蒼真に、わたしもつられて笑った。そんな馬鹿みたいな話をしながら、わたしは地図係の項目の、月菜の名前の隣に自分の名前を、時計係の項目に"瀬川蒼真"と書き入れた。
全部埋まったから、あとはが提出するだけだ。