オレンジの片想い

「蒼真と佐伯と日吉の名前は覚えてんだな。俺と木山の名前は覚えてなかったのによー...」



「うっ...ほんとごめんなさい....」



高木にそう言われ、わたしは謝ることしかできない。もう一度クラスのみんなの名前覚え直そうかな....って、もう今9月なんだけど。



「俺の名前って存在感ねえのかな....木山も知らねえし」



「ごめん。あたしも知らなかった」



「実は....私も....」



「えっ!?日吉も?佐伯も!?」



「てかあたし名字高山だと思ってた」



「ちょっと俺立ち直れないぐらいショック受けたぞ」



高木はそう悲しそうな声で言って、心臓のあたりを押さえて項垂れた。冗談めいた行動に、笑いが起きてその場が明るくなる。



「蒼真は覚えてるよな!?」



「おう。高山だろ?」



「お前、冗談でも俺デリケートだから傷つくんだからな!?」



蒼真がにやにやしながら言うと、傷口を抉られたようで高木が叫ぶ。すごい紳士なのかと思ってたけど高木って意外といじられるんだな。



でも、全く話したこともなかったわたしのフルネームを覚えてくれていた蒼真だから、冗談だってすぐにわかる。



蒼真はいつもふざけているように見えて周りのこともちゃんと見ている事たそれはちゃんとわかってる。彼はやさしいんだって。



キャリアの浅いわたしがわかるんだから相当だろうな。

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