オレンジの片想い
「でも男子3人だけでも、その中で1人フルネーム漢字まで覚えてくれてるとかなんか特別感あるな」
「女子はともかくなんで蒼真のは覚えてんだよ?むかつくな」
「そりゃー、男子で俺がいちばん仲良いからだろ!」
高木の問いに答えた蒼真の答えに、英語の時間のことを思い出して急に血が昇ってきて、顔が熱くなった。
「お前に聞いてねえし!つか自分で言うな、むかつくから」
「だって本当だもんなー、雪葉」
そこで同意を求められても困るよ....!
「......っ紙!.....を、だ、してくる」
いつもみたいな返しができず、不自然に立ち上がってしまった。でも男子でいちばん仲良いっていうのは本当。だけど素直に肯定するのが恥ずかしくて、否定するのも嫌で逃げたのだ。
顔から火が出るってのはたぶんこういうことを言うんだろうな。
仲良いっていうのは、友だちだっていうこと。
それがすごく嬉しくて、なのにその響きが少し悲しい。
....今まで考えたことなかったけど、蒼真って好きな人いるのかな?
これは考えたって答えは出せない。そのくせして聞くこともできないからわたしはまた考えてしまうのだけど。