オレンジの片想い
他の班全て役割が決まり、それを書いた紙を学級委員に提出すると、残った10分は自由ということになった。
わたしはそれを聞くなりすぐに咲歩の席へ行った。彼女は必死すぎるわたしを見て、何を話したいのかわかったらしく"急ぎすぎ"と微笑んだ。
「よかったね。同じ班になれて」
咲歩の前の席の人に椅子を借りて、話をしようとしたら先にそう切り出された。
それを聞いて同じ班になれたのだと再確認した。言葉にできないくらい嬉しくってわたしは咲歩に抱きついてしまった。
「やめろ。暑苦しい」
冷たく引き剥がされても顔の緩みは止まらない。
「緊張した......これ以上ないってくらい緊張したけど言ってよかった!」
「頑張ったね。声大きくて目立ってたけど」
「えっ!?嘘!」
「せか瀬川くん狙いの子多かったから、声量は関係なく注目浴びるけどさ」
「ああ、うん...たしかに」
その時は必死で周りにまで気が回らなかったけど、自分でも信じられないくらい大胆な事したんだな....。
「男子でいちばん仲いいんだってね」
咲歩のひとことに思わず固まる。だけど彼女になら言える。本人に言われたときは....なんか好きってばれそうだったから。
「.........ソレハソウダケド.........」
「なんでカタコトになったの」
「な、なんか。英語の時間に、わたしが女子の友だちでいちばんかもって言われて」
「おお。それで?」
「わたしも男子の友だちで蒼真がいちばんだって言ったんだけど」
「うん」