オレンジの片想い
「それでさっきああ言われて、なんか....恥ずかしくって。そう思うのはわたしがす、すきだから、そういう意味もあるからなんだけど」
咲歩は"うん"とも言わずにわたしの目を見て、話の続きを待った。
「.....あとから、いちばんだって言っても『友だち』なんだなあって。わたし、欲張りかな」
蒼真にすきになってほしい、なんて、そんな夢みたいな夢を見ても。見てもわたしは、蒼真の中のわたしの存在を痛感してしまうだけなのに。
「欲張りじゃないよ。思っちゃうのは仕方ないし普通だよ。ゆきは、瀬川くんとどうありたいの?」
蒼真と....どう、ありたいか。
「わたしは.....ちゃんと、蒼真と向き合って....お互い同じ気持ちになれたらって思う」
「それが答えでしょ。そうなれるように動くしか。みんな自分の判断で動くしかないからね」
「動くってどう....わたし自分の判断で動けてないよ。誘ったのだって咲歩の提案じゃん」
「提案はしたけどやるって決めたのはゆきでしょ?そういうことだよ」
なにかを実行するかしないか、そのなにかを考えたのは自分でなくても、決めるのは自分ってこと。
「ん....頑張る。そうなれるように」
「うん。話は聞くよ。意見は言わせてもらうけどね」
「ありがとう」