オレンジの片想い

蒼真は笑顔でそう言うと、わたしに背を向け高木たちと話はじめた。それを見てわたしも咲歩の方を向く。



「....にやにやしすぎ!」



軽く頭をチョップされた。だけど頬を押さえても直らなくって。早く1週間前にならないかなあなんて、普段なら絶対に思わないことを思った。



咲歩とまた少しだけ教え合いをしてチャイムが鳴り、掃除をして、終わりの挨拶が終わればみんな部活に行ったり家に帰っり、それぞれの行動に移った。



わたしも部活に行くけど、先に勉強道具をかばんに詰め込んでいた。ふとドアの方をみると、蒼真が教室を出ていくところだった。



「っ蒼真、ばいばい!」



いつも言っていることなのに、気持ちが前とは違うからドキドキした。



「おう。雪葉も部活だよな?」



「そうだよー」



「頑張れよ」



「ありがと。蒼真も頑張って」



「おう。ありがとな!....あ、勉強教えてもらう話なんだけど、場所はどうする?」



「んー....テスト1週間前になったらいろんな教室が開放されるから、その時決めよ」



「了解。じゃあな!」



その笑顔にまた顔が熱くなってしまって、本人に気づかれてしまいそうだ。



蒼真が去ってから、わたしは一人で手で顔をパタパタと扇ぎ、ため息をついた。それから熱が治まって、部室へと足を運んだ。



その日の部活、わたしの写真はブレまくってしまって部長に心配されてしまった。


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