オレンジの片想い

「て、なんか話が違ってきてるよ」



話が逸れてきてしまったから話を戻す。



「何からやるかとかは任せます」



そう言われて、何からしようか考えて数学をすることにした。蒼真が問題を解いている間にわたしは理科のヤマを張っていた。そんな風に、わたしと蒼真はお互い違うことをしながら勉強を進めた。



静かで、文字を書く音がはっきりと聞こえる。勉強しているのだから静かなのは当たり前なのに、彼が目の前にいるのを実感して妙に照れくさい。だめだ、集中しなきゃ。



無意識のうちに猫背になっていたから、顔をあげて背筋を伸ばし、音を立てずにため息をついた。




蒼真の方をみると真剣に問題に取り組んでいた。ものすごい眉間に皺が...。



手も止まっているし、わからない問題に遭遇しているのか...そう思って声をかけようとしたとき。



「....っ!」



蒼真がふと顔を上げて、視線が交錯した。急だったのと、見ていたことがばれたのとで体中がの血が沸騰したかのように熱くなった。



蒼真はなぜかまた下を向いてしまった。顔が赤く見えたのは、窓から差し込む陽のせいだろうか。



「....そ、その問題...解けないの?」



沈黙が続いて、なんとか空気を変えようとそう切り出した。



「あ、ああ...うん」



「えっと、これは....」



ぎこちない返事を聞いてから、問題の解き方を説明した。説明し終わると、理解したようで"ありがとう"と告げてから次の問題へと移っていった。わたしはというと距離の近さに心臓バクバクで、ちゃんと説明できているかもわからなかった。納得してくれて心底ほっとした。

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