オレンジの片想い
そっか。今日で蒼真と勉強するのは最後だと思ってたけど違ったんだ。昨日で最後だったんだ。
そう思った途端に、浮き上がっていた気持ちが沈んでいく。
恋をすると、どうしてこんなに我儘になってしまうんだろう。
「じゃあ、俺帰るけど...」
「あ....っま、待って!」
咄嗟に、蒼真のシャツの裾を掴んだ。だけど、思わず呼び止めてしまったけどノープランで。自分の行動が急に恥ずかしくなってきて、でももう引き返せない。
えっと....。わたしは考えを張り巡らした。
「ひ、ひとり?」
「そうだけど、ナンパみたいな聞き方だな」
そう言われて笑われた。言われてみれば...たしかに。だけどそこに触れて冗談を言う余裕などわたしにはなかった。
「...じゃあ一緒に、帰...りません、か」
少しでも長く、一緒にいられる口実。考えてもこれしか思い浮かばなかった。本当に少しだけど、それでも構わない。でもこんなに緊張するだなんて...班に誘った時はたぶん咲歩もいたからまだ落ち着いてたんだけど、今はひとりだから。
ぎゅっと片方の手を握り締めて、返事を待った。
「.....びっくりした。俺、今ふたりだしてっきり一緒に帰るって勝手に思ってたんだけど...」
「え...でも帰るって、言ったから...」
「あれは、"一緒に帰るよな?"って確認しようとして...」