オレンジの片想い

「ん?別にいいけど」


「悪いな。じゃあ時計と地図交換してくれ」


拗ねる高木から地図を受け取り、それを蒼真に渡す木山くん。それをを受け取った蒼真が木山くんに腕時計を渡した。



「時計は...さすがに読めるか。はい」


「馬鹿にしてんのか木山!?」


「だって馬鹿だろ?」


「そうだね」


「...お前ら前から俺への態度冷たくねえか」


「俺らは事実を言ってるだけだ」


「え?何?俺恨まれてんの?」



木山くんの冗談は冗談に聞こえないなあ。それに咲歩まで便乗してるし...。



班が一緒になってからわかったけど、木山くんはいつも悪ふざけしているけど本当はしっかりしていて、逆にしっかりしてそうな高木は....そうじゃなかったり。



木山くんと咲歩はちょっと似てるとこあるな。しっかりしているとことか、歯に衣着せぬ物言いなとことか。



「おーい、早く行かねえと時間すぐなくなるぞ」



蒼真がみんなに言い、わたしたちはまた歩き出した。今度はちゃんと道も間違わずに、誰かが先々行くこともなく進んだ。



「なんだ、蒼真地図読めるんじゃん」


「この地図は誰でも読めるだろ」


「やっぱりみんな俺に恨みあるんだろ」


「あはは」


「そういや俺、奈良のこの辺りの地図しかもらってないけど、明日と明後日のは?」


「ああ、行く場所多いから分担してるの。わたしは明後日の分の地図持ってるの」


「うん。で、私が明日の分の地図」


「あー、そういうことか。高木がなくしたのかと思った」


「やっぱひでえよお前ら」
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