オレンジの片想い

2日目。朝ごはんを旅館で頂き、電車に揺られて京都へ。



この日は嵐山から金閣寺まで、路面電車に乗って班で回る。駅に着いて、先生が昨日と同じことを注意し、班行動開始。



「今嵐山来ても10月だから紅葉って感じじゃねえよな...」


「まだ緑だね...」


高木と月菜の言う通り、嵐山ってこの時期紅葉が有名なのだけど、まだ10月だから山は青々としている。


「これだけでも綺麗だけどな」


「蒼真はなんでも肯定するよなー」


「でも本当に景色いいよね」


「....うん」



本当に、綺麗。



風の音とか、葉と葉が擦れる音とか、自然の音が気持ちいい。こんな改まってみることないからかな。



「...そろそろ歩くか?」



20分くらいそこで景色を眺めながらしゃべって、会話が一段落したところで木山くんがそう言ったので、みんな頷く。



「高木ー今何時?」


「えーっと...12時前」


「じゃあいいペースだな。佐伯、道頼むよ」


「うんっ」



月菜が先頭に立ち、駅へ。まず仁和寺へ行ってレポートを書き、それから龍安寺までの道のりの途中でお昼ご飯。バイキングのお店で、店前に先生がいたのでそこで到着したことをチェックしてもらった。


お昼は12時から1時半までの間で済まさなければならないのに、わたしたちは時間も忘れて喋ってしまって気づけば1時20分。


急いで龍安寺へ行って見学し、金閣寺まで歩く。同じ制服の人たちが見当たらず、焦る。



「わ、待って!地図見にくくて...っ」



月菜が焦ったようにみんなに言ったので、歩く速度を落とした。
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