オレンジの片想い
30分ほど歩いてようやく金閣寺に着き、見学してレポートを書いた。
集合は3時で、その10分前に集合場所に到着した。それまでの間、わたしは蒼真と目を合わすことができず、ただ必死に笑って誤魔化した。
ホテルは銀閣寺に近いらしく、そのついでに銀閣寺も見学するためにバスで移動。隣の席が咲歩で安心した。
「ねぇゆき、大丈夫?」
ぱっと咲歩の方を見た。彼女は、じっと真っ直ぐにわたしの目を見ていた。
「.....わたしって、そんなにわかりやすい?」
「どうかな。わかる人にはわかるけど、わかりにくい方じゃない?誰かに言われたの?」
「うん........蒼真に」
「瀬川くん?ゆき瀬川くんのことで悩んでんじゃないの?」
「そうなんだけどさ」
「お前のせいじゃぼけって言ったらよかったのに」
「ほんと、言えばよかったわ」
「...まあ、そんだけよく見てるって事でしょ」
たしかに蒼真って人のことよく見てると思う。だからこそ、男女問わず好かれるんだよね。
「で?何でそんなに泣きそうな顔してるの?」
蒼真と同じような優しいこと言うから、さっきは我慢したけど咲歩の前だから本当に泣きそうになった。わたしは咲歩に今心の中にあることを全て吐き出した。
「そっかあ。でも嫉妬しちゃうのはどうにもできないよね」
「できればしたくないよ...」
なんか自分がすごく性格悪くなる気がするから。
「月菜に好きだってこと言ったら?ちょっとは楽になるんじゃない?月菜なら言えるでしょ」