オレンジの片想い
「もう気づいてると思うから言うけど、私梓たちにハブられてるでしょ?」
月菜は、乾いた笑顔を浮かべてそう言った。
わたしも咲歩も、当然気づいていた。梓ちゃんたちが月菜を良く思っていないのなんて態度や表情から滲み出ていたから。だからわたしたちは無言で頷いた。
そんなわたしたちを見て月菜はまた笑う。心からではない笑みで。
「はは、だよね?」
たぶん、重苦しい雰囲気にしたくないんだろうな。でも、さ。
「月菜、笑わなくていいよ」
「そうだよ。あたしらの前ぐらい気抜いてもいいんだから」
月菜の目に涙が浮かぶ。零れたそれは彼女の頬を伝いぽたりと落ちていく。
「...クラス替えして、梓たちが声かけてきてくれて仲良くなって...。私、みんなで話してるの本当に楽しかったの。でも」
涙で濡れた瞳が震える。
「後から知ったの。声、かけてきてくれたのは、私の容姿のせいだって」
...そういうことか。梓ちゃんたちは派手で目立つ。一緒にいる子もみんなそういった系統の子ばかり。つまり、派手な子じゃないと一緒にいるのは嫌、ってこと。だから茶髪の月菜に声をかけた。
「私のこの髪は親が勝手にやった事で...だから、私は楽しくても、梓たちからしたら話のノリが合わなかったみたいでさ」
なんて言ったらいいのかわからず、ただ頷いて話を聞く事しかできない。
「そんな中で、私彼氏できて。他のクラスで幼馴染なの。よく相談乗ってもらってて、それで」
彼氏できたんだ...........って、え?
「えっ....か、彼氏いるの!?」