オレンジの片想い

彼氏か....いいな。お互い想い合っていることが、羨ましい。月菜が蒼真を好きだったらどうしようってのは杞憂だったんだな。



「雪葉は瀬川くんのこと好きなの?」


「えっ!?..............うん.......」



バレてた....いきなり訊かれて驚いてしまったけど、元々言うつもりだったから小さな声で肯定した。自分が思っているより周りに気づかれてるのかもしれないなあ。



「やっぱり。恋バナ聞かせてよー」


「ええ、やだ。恥ずかしい....」


「顔赤すぎ!雪葉かーわいい」



顔が赤いのは自分でもよくわかる。顔を手で覆うと頬が熱いし、顔だけじゃなく身体中も。でもちょっと、こんな会話も楽しい。修学旅行っぽくて。



「咲歩は?好きな人とか、いないの?」


「んー?あたしは自分の話すの苦手なのよ」



月菜が訊くと、咲歩はわたしのときと同じことを返した。



「そうなの?でもその言い方いるってこと、だよね?」



それは、わたしもずっと思ってたことだ。含みのある言い方だから、いるのかなって。だけどどうしてか訊けずにいたから、月菜が言った言葉への咲歩の返答に耳を傾ける。



「.....まあ3人だけだしいっか。いるよ」



咲歩の目は、恋をしている瞳だった。


「.....おお.....!」


「咲歩にそんな顔させる人....!見てみたい!」


「もー!これ以上は無理!」



本当にそれ以上は何も教えてはくれなかったけど、話は盛り上がって夜中まで喋りっぱなしだった。



まだ話していたかったけど、明日もあるからということで就寝。



そして、修学旅行最終日を迎えた。
< 54 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop