オレンジの片想い
彼氏か....いいな。お互い想い合っていることが、羨ましい。月菜が蒼真を好きだったらどうしようってのは杞憂だったんだな。
「雪葉は瀬川くんのこと好きなの?」
「えっ!?..............うん.......」
バレてた....いきなり訊かれて驚いてしまったけど、元々言うつもりだったから小さな声で肯定した。自分が思っているより周りに気づかれてるのかもしれないなあ。
「やっぱり。恋バナ聞かせてよー」
「ええ、やだ。恥ずかしい....」
「顔赤すぎ!雪葉かーわいい」
顔が赤いのは自分でもよくわかる。顔を手で覆うと頬が熱いし、顔だけじゃなく身体中も。でもちょっと、こんな会話も楽しい。修学旅行っぽくて。
「咲歩は?好きな人とか、いないの?」
「んー?あたしは自分の話すの苦手なのよ」
月菜が訊くと、咲歩はわたしのときと同じことを返した。
「そうなの?でもその言い方いるってこと、だよね?」
それは、わたしもずっと思ってたことだ。含みのある言い方だから、いるのかなって。だけどどうしてか訊けずにいたから、月菜が言った言葉への咲歩の返答に耳を傾ける。
「.....まあ3人だけだしいっか。いるよ」
咲歩の目は、恋をしている瞳だった。
「.....おお.....!」
「咲歩にそんな顔させる人....!見てみたい!」
「もー!これ以上は無理!」
本当にそれ以上は何も教えてはくれなかったけど、話は盛り上がって夜中まで喋りっぱなしだった。
まだ話していたかったけど、明日もあるからということで就寝。
そして、修学旅行最終日を迎えた。