オレンジの片想い

心臓、止まるかと思った。苦しいくらいに心音が鳴り響いて、周りにまで聞こえちゃいそうだ。


まるで息の仕方を忘れたみたい。



「どう....って?」



蒼真の顔が見れない。思考が停止しそうで、必死に脳をフル回転させた。それでも、動揺でこんな言葉しか口から出てこない。


蒼真の声色は、決してふざけているようには思えなかった。




ねえ、蒼真。わたし期待してもいいの?




下を向いて、蒼真の言葉を待った。だけど、彼から出た言葉はまたも予想の外れたもので。



「.....ごめん」


「え...なんで?」


なんで、謝るの?


わからなくて、恐る恐る隣を見た。わたしが蒼真を見たのは、きっと彼の視界に映っているだろう。でも目は合わない。合わせるのを拒まれている、ように思えた。



「...蒼真?」



名前を呼ぶと、彼はこちらを向いた。視線は下を向いてた。



「ごめん。今の忘れて」


「え、」


「冗談だから」



蒼真はわたしの髪の毛をくしゃりと撫で、傍を離れた。わたしは、何も言えなかった。



今にも消えちゃいそうに微笑むんだね。交わらない瞳の奥、どうしてそんなに、哀しげなの?






その表情の意味は____________







何?


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