オレンジの片想い

学校へ、無意識のうちに早足で向かった。



教室のドアを開けて、真っ先に蒼真を探した。でも、まだ来ていないようで。席に向かおうと何歩か足を動かして、思い出す。



そうだった。席、テストのとき出席番号順に動かしてからそのままだ。



普通の席替えは男女列関係なくごちゃ混ぜになるけど、番号順の席になると、1列ずつ男女交互になる。だから蒼真は隣の席じゃなくわたしの斜め後ろ。




隣が良かったなあ。



そう思いながら自分の席につく。あと5分ほどでHRが始まる。だからもうそろそろ蒼真が来る、はず。



あと2分、あと1分。時計を何度も見た。でも、いつもならもう来てるのにまだ来ない。もしかして休み?



他のクラスに移動してた子たちが戻ってくる。その中に、咲歩と月菜もいた。



「ゆきおはよう」


「おはよう雪葉!」


「ふたりともおはよう」



ふたりが席に着いたとき、担任が教室に入ってきた。



来ないのかな、と落ち込んだとき、いきおいよく後ろのドアが開く音。



その音に振り向くと、わたしが会いたかった人がいた。
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