オレンジの片想い

「木山くん!」


「篠井7番?」


わたしの隣の席の人は、木山くんだったのだ。


「そうだよー」


「篠井が隣だったら暇じゃないな」


「HRのときとか話す人いないと暇だよね」



よかった、話せる人が隣で。ひとりだったら周囲の声が耳に聞かずとも入ってくるから、蒼真の声も聞こえてきて、またもやもやしてしまうから。



「お、木山は篠井のとなりかー」



高木が言いながらこちらに来た。あれ?でもさっきまで蒼真と喋ってたよね。ばれないように蒼真の席を見ると、彼は机に突っ伏していた。



「高木いちばん前の席なんでしょ?」


「なんで知ってんの?」


「声でかいから聞こえたの」


「俺も聞こえてた。声でけえから」


「え、そんなでかかった?」


木山くんとふたりで大きく頷いた。それに高木は少し反省していた。



「全員移動できたか?じゃあ挨拶するから、1回自分の席座れー」


担任の呼びかけに、みんなそれぞれの席に着く。



「...なあ、篠井」


「ん?」


「雪葉...って呼んでいいか?」


...びっくりした。急に言うから。


「いいよ。じゃあ、わたしも陽翔でいい?」


「おう!」


木山くん...改め陽翔が笑い、それと同時ぐらいに学級委員の号令がかかった。

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