オレンジの片想い
わたしはずっと、逃げていた。蒼真に話しかけても冷たい態度しか返ってこないことが、こわくて。そんな状態のまま5日が経った、今日。
「なあ、雪葉と蒼真って何かあったのか?」
休み時間、陽翔が不思議そうな顔をしてそう訊いてきた。
「ん?....何もないよー。ただ席離れて話さなくなっただけ」
「あーな、仲良かったのに最近喋んねえなって思っててさ」
「うーん....一時的だったね」
「今は俺の時代?」
「あはは、俺の時代きてるね」
名前を聞くたび、心臓は変な音を立てる。意識しちゃってるのが丸分かりでなんか悔しい。
馬鹿だなあ、わたし。
蒼真と話さなくなったのとかわって、陽翔とよく話すようになった。意識してることを悟られたくなくて、目で追わないように気を付けてさ、ますます彼の存在が気になるだけなのに。
それでも笑えてはいるんだから自分がよくわからないな...。
________そして、その日の終わりのHRのことだった。
その日のHRは、いつもと違っていた。担任が真剣な面持ちで教室に入ってきたときから、既に空気は違っていた。
何があるのか全くわからず任を見つめた。すると、先生が教卓の前に立ったと同時に...蒼真が、立ち上がって先生の隣に並んだのだ。
蒼真....?
ドクドクと血液が流れ出る音が、頭に響く。なんだか、嫌な予感がした。
それは見事的中し_____先生は耳を疑ってしまうような事を、言ったのだ。
「みんな、急ですまないんだが....瀬川は、今日で転校する」