オレンジの片想い
「修学旅行の少し前ぐらいから」
「そ...っか。最近だね」
「うん。俺もびっくりした」
旅行のちょっと前か。わたしたちが楽しんでいる間、蒼真はずっとそのことを誰にも言わずにいたんだなあ。
「わたしを避けていた理由って、今も言えないこと?」
「うん。雪葉には今も言えないこと」
じゃあいつだったらいいんだろう。もう会えないかもしれないんだから、一生言わないつもりだって言われてるのかな。
「....修学旅行でのこと、ずっと気がかりだった。あの時なんで、冗談だってはぐらかしたの?」
訊きたいこと、全部答えてほしかった。今確かめないとわたし、もう2度と言えないから。なのに。
「本当に冗談だったからだよ」
目線を下げてそう言う蒼真。
「嘘」
「嘘じゃねえよ」
「嘘だよ。だって蒼真、哀しそうな表情してたよ?なんでそんな顔したの....」
蒼真は驚いた顔をした。自分で思ってるより表情に表れてるのにな。今だってそう。ばれてないとでも思ってたのかな。
「俺そんな顔してたか?」
「してた。ねえ、教えてよ...」
「雪葉にはなんでもばれるんだなー...」