オレンジの片想い
「何があっても私たち友だちだからねええ....」
「わかった、わかったから...まず教室入りな」
「ああ~...心細くて死にそう」
「うさぎか」
「それ迷信だよ...」
「知ってるよ」
月菜は1人も知り合いがいないことからなかなか教室に入れないでいた。
きっとわたしのように友だちと同じクラスになれた子よりも、月菜のように全く知らない子たちばかりの教室に入る子の方が多いだろうから、友だちだってすぐできるだろうに。だけどやっぱり不安なんだろうな。
梓ちゃんたちのことがあったから、尚更。だけど見失ってることがある。
「月菜、大丈夫だよ。もし何かあっても、わたしがいるから」
そう。月菜は独りじゃないのだ。
滅多にないと思うけど、もしも月菜がそのクラスで浮いてしまったなら休み時間のたびにわたしのクラスに来たらいい。何かなくてもそうだ。いつだってわたしは此処にいるのだから。
「うん...ありがと雪葉」
「頑張れ。怖いと思うけど...いつでも来ていいからね」
「うああ雪葉~頑張るよおお」
月菜はわたしに抱きついて、それから緊張した面持ちで教室へと入っていった。
大丈夫かなあ。やっぱちょっと心配だけど、自分だって陽翔とずっと一緒にいるわけにはいかないし、頑張ろ。
そう思って、教室の後ろのドアに手を掛け、開けた。