オレンジの片想い

教室内は、思ったよりも騒がしかった。黒板に貼られてある、出席番号順に並んだ座席表の通りにちゃんと座っている子も居れば、早速友だち作りに励んでいる子も居た。



わたしはとりあえず荷物を置くために席を確認する。真ん中の列の、前から3番目の席だった。



微妙な席だなあ。まあ、入学したてなんだし別にいいか。



お、陽翔と席近い。わたしの右斜め前だった。
黒板に背を向けると、陽翔は既に座っていて、彼に近づくと驚いた顔に変わる。



「え、雪葉?同じクラス?」


「そうだよー!知らなかったの?」


「うん、びっくりした。俺見ての通りまだ友だちいねぇからさ、安心したわ」


「あはは、ぼっちだ。ってわたしもなんだけどね。わたしも陽翔いるって知ってすごい安心したよ!」



これは本当に、心から思ったことだった。目を真っ直ぐ見てそう伝えると、陽翔は逸らした。



「佐伯は?」


「月菜は...隣のクラスだよ。青い顔して教室入ってった」


「え、大丈夫かあいつ」


「うーん、たぶん」
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