オレンジの片想い

わたしの知ってる蒼真は、わたしとあんまり身長差がなくて、見上げなくても隣を見れば自然に目線が交わっていた。



それが、今は見上げないと顔が見えないくらい高い位置に顔があって、昔のようにただ首を左右に動かすだけでは彼の肩しか見えない。



わたしも少しは伸びたし低い方ではないんだけど、なんか伸びてないみたいに感じる。



「んー？雪葉は縮んだな」


「なんだと」



ジロリと睨むと、蒼真は吹き出すように笑った。自分が伸びたからって意地の悪いこと言うんだから。わたしだって伸びたんだからな！



「今何センチ？」


「.....161」


「あれ、ほんとに結構高い方だな。もっと低く見え.....ないよ、うん。俺179」



低く見えるって言いかけたなこいつ。でもまあ、目を瞑っててあげよう。てかでかいな。もう180じゃん。



「雪葉は....変わってないなー」


「え、それ良い意味じゃないよね」


「さあな。あ、でも」



蒼真はそこで一旦区切る。言葉の続きが気になり催促しようとしたとき、彼の手がわたしの髪の束を少量掬った。



「髪、伸びたな」