オレンジの片想い
小夏ちゃんは、鈍感そうだなあ。あんな整った顔で鈍感とかかわいすぎるな。もうかわいいしか出てこないよ。かわいいの塊だよあの子。
蒼真の表情かコロコロ変わる。それを見てわたしは笑いを漏らし、彼の肩をぽんと叩いた。
「まー、頑張れ」
すっと出た言葉は、本心なのか。
自分に問いかけても答えは返ってこない。
「雪葉にそう言われると心強いな」
「....でしょー?」
「でしょってなんだよ」
「ふはは、....応援、してるよ」
「おう、ありがとな」
生まれる蟠りを浮かんでは沈めて。
教室に着いたわたしたちはドアを音をたてて開けた。どうやら最後だったみたいで、まだ担任は来ていなかったけど既にみんな席に着いていた。まあ、ガヤガヤしていたけど。
わたしたちも席についた。陽翔がそれに気づき、後ろを向いて蒼真と話し出す。久しぶりだなーとかそんな話。
ふと周囲を見ればもうみんな、友だち作って喋っていて少し焦る。
出遅れたかなあ....みんな、席着いてるし立ち上がれないし、前の子は他の子と話してるし...。
思いきって後ろ振り向いてみようかな。
行動しなきゃ、変わんないんだから。月菜だって頑張ってるし、わたしも頑張らなきゃ。
そう思って後ろを振り向いた。