オレンジの片想い
咲歩との待ち合わせ場所は、お互いの高校から近い方がいいと言って、中間地点らへんにある、ちょっと洒落たレストランを選んだ。
わたしの家から高校まではさほど遠くないのだけど、月菜の家からはわりと距離がある。これから先は自転車で通うつもりらしいが、今日だけ電車できてもらった。咲歩と、制服姿で会いたかったから。
レストランは高校の最寄り駅から2駅。自転車を高校に置いておくわけにもいかないしね。
集合場所へ到着して、スマホを取りだし電源を入れて、咲歩に着いたことを知らせる。彼女はまだ電車の中らしく、わたしたちは先に案内された席についた。
「ねえ、雪葉の友だちってどんな子?」
座るなり興味津々にそう訊く月菜。
「すごいかわいい声してるんだよー。あ、名前はね、須田ひなせちゃんって言うんだけど。ちょっと口下手だけど優しい子だよ」
「へえー!明日会いに行ってもいい?」
「もちろんですとも。その代わり月菜のとこにも会いにいくからね。月菜の方はどんな子なの?」
「うん、来て来てー。えっとね、山城彩ちゃんっていう...とにかく明るくて体育会系な子」
「体育系かあー、月菜から話しかけたの?」
「ううん、彩ちゃんから。他にもちょっとだけだけど挨拶というかはしたよ~」
「おおお...わたし、ひなせちゃんとしか話してない」
「ま、これからだよ。....お、咲歩来たっぽい」
入口の方を見ると、わたしたちとは違う制服を身に纏った咲歩の姿。わたしは咲歩へ大きく手を振った。それに気づいた彼女が薄く笑いながら近づいてきて、わたしの隣に座った。
「ごめん、遅くなって」
「いいよいいよ。まだ何も頼んでないからとりあえず何か食べよっか」
月菜の提案に賛成し、メニューを手に取った。わたしは迷うことなくオムライスを、咲歩はカルボナーラ、月菜は海鮮ドリアを注文。
数分後それらがテーブルの上に置かれ、少し口に運んだところで月菜が話を持ちかけた。
「...で、雪葉。さっき咲歩も揃ってから言うって言ってたの、続き教えて?」